明治11年(1878年)堺県堺区甲斐町に生まれた与謝野晶子、絢爛たる浪漫主義の花を咲か せ、一世を風靡した彼女の第一歌集「みだれ髪」は、みずみずしい青春の官能的な情熱と健康 的な詩魂の光を、現代にも放ち続けています。 また晶子の師であり、夫であった与謝野寛は短歌革新の勇敢な旗手として、晶子に深い影響 を与えたばかりではなく、文学美術専門雑誌「明星」の編集にその力を発揮し、国内の白馬会系 の画家たちを巻き込んで、近代人としての自我の構築を訴え、明治期において新しい感性に目 覚めた多くの詩人・歌人を育て上げました。 そして、どのような境涯にあっても高い質の芸術的生活を築き上げ、たゆまず美しい夢を見続 けた晶子は空想と憧憬との翼に乗って、老いることなく自己の姿の真実を歌いつづけました。 その詩歌は、底知れない深さ、自由さ、音楽性をたたえているといわれます。また、歌人、評 論家、教育者、古典研究者としても、さまざまな活動を展開し、当時の女性の地位向上のため に、現代にも通ずる女性問題に重要な問題提起を行ったことはよく知られています。 こういった晶子を学び研究し、継続的に顕彰する総合的な組織として、平成9年「与謝野晶子 倶楽部」が発足しました。これまで晶子フォーラム・晶子講座・短歌講座・文学踏査・機関誌の 発行などを通じて会員相互が研究・交流を行うとともに全国の情報の受発信に努めて参りました。 また、晶子の故郷である堺市では、平成12年4月に、JR阪和線堺市駅前に堺市立文化館が 開設されました。文化館では、「与謝野晶子文芸館」として晶子関係資料の常設展示を行って おり、晶子の研究・情報発信に努めています。 晶子は人生の先輩、あるいは灯台として、人を慰め、励まし、勇気付けてくれる存在だと存じ ます。